【感想】「すこやかな服」(マールコウサカ)
かわいくて手が届く値段のブランド、foufou。
理念についてはSNSなどでだいたい知っているつもりだったけど、デザイナーのマールさんが買いたこの本を読んでみて改めてすごいブランドだと思った。
セールをしない
foufouはアパレルでは当たり前のセールということをしない。
再販の際にも、初販と同じ価格で服を売り続けている。
この方法の何がいいって、後から値段が下がることがないので買った人が嫌な思いをしないこと。
私は服を買うときにいつも「この後安くなるかな?でも売り切れちゃったらどうしよう…」なんて考えて、買った後に「もっと安くなったじゃん、待てばよかった!」なんて考えてしまう浅はかな人間だ。
買った服が値下がりしても、別に損ではないんだけどね、気持ち的にね…
定価では売れないことを前提に作ってるんだと思うと、こちらも底値になるまで待って買いたいなと思ってしまう…売り手と買い手の双方によくない状態だとは分かっているんだけど。
なので気に入った服を「損したような気持ちになるのを心配せずに買える」foufouのスタンスは、買い手からしたらすごく誠実だと思う。
そして私は商売に詳しくないけれど、同じ価格で再販してちゃんと売れてるfoufouはすごい。
オンラインとオフラインの使い分け
foufouはオンラインとオフラインの使い分けがうまい。
- オンライン→ライブ配信
不定期(ほとんど週1回以上?)でインスタライブでやっている服のお披露目会。
foufouの服(たいていその日に発売するもの)を実際に着てもらえてポイントやサイズ感を説明してくれる。
服のいいところはもちろん、よくないところ(重いとか、お手入れが大変とか、使っている布量が多くて動きにくいとか)まで伝えてくれる。
むしろよくないほうを強めに言ってくれるので、届いた後に想像と違ってがっかり…が少ないと思う。
- オフライン→試着会
foufouの服を試着できるイベント。
服は後で参加者限定のオンラインサイトで買うスタイルなので、その場で即決せずじっくり考えられる。
コロナの影響で開催を一時的に停止中。
私は試着会というか、すごく申込者が増えたタイミングで臨時で設定されたミニ試着会のようなものに参加させていただいた。
服はその場で買わない(買えない)ので、スタッフさんの圧みたいなものを感じることもなく、淡々と試着に集中できた。
個人的な話だが、私は服屋で服を買うときの店員さんとのコミュニケーションが苦手なので、ありがたかった。
行ける人はオフラインで、行けない人はオンラインで。
興味を持った人が服を買おうとしたときの障壁が低い。
オンラインを充実させているからこそ、多くの人にとって服を買う機会が減ったであろう昨年も変わらず服の販売を続けられたのだと思う。
おしゃれのハードルが下がる
foufouの服はシンプルで、ほとんどのものは年齢を問わず着ることができる。
私より年下の人も年上の人が着ていても違和感は全くないと思う。
誰も見てないことは分かっているのに「周りから浮かない服、年相応の服を着なきゃ…」と人の目が気になってしまう私にとって、どこでどんな服を買うか考えるのはけっこう難しい。
サイズとか、着てみて似合うかどうか、洗濯機で洗えるか(とても大事)の問題もある。
その結果条件を満たしていて、店員さんと話さずに買い物が完結して、手が届く値段のユニクロの服ばかりになる。
でもfoufouは作り手もファンの方もとても楽しそうなので、もう少し自分の好きや憧れを優先して服を選んでもいいかもと思えた。
感想
マールさんが、あんまり即決してほしくない、迷った末にfoufouの服を買ってほしい(ニュアンス)というようなことを書いていて驚いた。
そういえばインスタライブなどを見ていても、マールさんは欲しいもの全て買ってほしいなんて言わない。
むしろ「全部欲しい」、「どれにするか決められません」などのコメントに「1シーズンに1着ね、考えて買ってね」などと返しているのを見たことがある。
買い手からしたらびっくりである。
確かに私の経験でも視界に入ってからすぐ買ったものはあまり使わないし、ずっと欲しいのに買うか迷ったものはもはや恋か?ってくらいずっと考えて、買ったら大切にする気がする。
foufouの服は私からしたら手が届くけど決して買いやすい価格ではない。さらにどれもかわいく見えてしまう。
買うか迷って、必要かどうか考えていいんだと安心した。
嬉しいことにfoufouというブランドの規模は少しずつ大きくなっていて、ファンもどんどん増えている。
私がfoufouを見ている期間は2年くらいしかないけれど、それでもお客さんも作る人も無理をしなくてもブランドって続くんだなと実感する。
これからはときめきも大切にして着るものを選びたい。