【感想】『言い寄る』(田辺聖子)

これ読んで、Juice=Juiceの『ひとりで生きられそうってそれってねえ褒めているの?を思い出した。

 

 

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『言い寄る』は、まさにこの曲を具現化したような小説だと思う。

 

【登場人物】

  • 乃里子

デザイナーとして働いている。

ずっと好きなのは五郎だが、何をしても全然振り向いてくれない。

自立していて自由奔放なところが吾郎以外の男性に受ける(のをおそらく本人も自覚している)。

 

  • 美々

OLとして働いている。

浮気相手の子どもを妊娠するが、相手がお金を渡して逃げようとするので途方に暮れる。

 

  • 五郎

昼は会社員として働き、夜はウクレレの演奏をして気ままに生きている。

乃里子からしたら何を考えているのかよくわからない。

 

【あらすじ】

乃里子は五郎のことをずっと想っているが、恋愛対象として見てもらえない。

 

美々が浮気相手の子どもを妊娠し、世間的な体裁を気にして五郎に一時的に結婚してほしいと持ちかける。

 

仮面夫婦を演じてすぐ別れるのかと思いきや、五郎と美々は次第に仲良くなっていき、本当に結婚することを決めてしまう。

 

二人の関係をやきもきしながら見ていた乃里子はショックを受けるが、美々から「実は五郎と2回目に会った時から言い寄られていた」と聞かされ絶望する。

 

【感想】

大好きだけど応えてくれないあの人も、自分でない誰かにはいい顔して言い寄っていて…という意味のタイトル「言い寄る」なのかなと。

 

この話はまさに自分の思いを受け止めてくれない人に対して悶々としている人がたくさん出てくる話。

当たり前だけど恋愛ってとても残酷だと思った。

 

美々の図々しさがすごくて、親友の近くにいる男性に偽装結婚して!なんて頼めるか?

でもこういう人が恋愛に限らず楽しく生きられるよねと思ってしまった(ただの僻み)。

 

乃里子の気持ち、そばにいたら五郎も美々も気づくでしょ…と思ってしまうけど、意識せずにいるとなんとも思わないのかな。

 

実は恋愛も結婚も、奇跡なのか…?