『私を離さないで』小説とドラマ

家族が綾瀬はるか主演のドラマ『私を離さないで』をおもしろそうに観ていた。

 

 

原作をよかったらと渡してみたら、読んでくれてこんな本だとは思ってなかったと驚いていた。

 

 

「そんなに違う?」と思ったけれど、私も数話見てみて同じことを思った。

ドラマになるとこんな感じだはと思ってなかったよ…

 

『私を離さないで』は青少年向けの保護施設のような場所で暮らす子供たちが、成長しながら自分たちの生まれ持った過酷な運命に向き合っていく物語。

ドラマだと舞台は日本で、登場人物は全員日本人らしい名前になっている。

 

恭子

小説版のキャシー。明るく優しい性格。

 

美和

小説版のルース。気が強く見栄を張る癖がある。

 

友彦(トモ)

小説版のトミー。幼い頃は癇癪を起こすことがあったが成長につれて克服する。

 

 

外部から隔離された全寮制の学校で、生徒たちが自分の運命を躊躇わずに受け入れられるよう、間違っても逃げ出したり将来の夢を持ったりしないように慎重に育てられる。

 

学校を出たら次は同じ立場の人が集団で暮らす施設に移り、しばらく生活する。

 

その後は自分たちが生まれた目的である”提供”に備えて待つ。

 

ストーリー自体は小説とドラマとで大きくは変わらない。

ただ小説は昔のイギリスが舞台なので自分と離れていてファンタジーっぽく感じられてけど、日本が舞台だと何せ役者さんも有名な方ばかりなので、なんか生々しいと言うか、現実感がある…

 

物語のキーとなる秘密があり、最初のうちはそれははっきりと明かされないのだけれど、登場人物が成長し生活が変化するにつれて、読者は次第にその秘密の内容に近づいていく。

 

私はドラマを最初の数話しか見ていないけど、この「秘密」がさっそくドラマの1話目で明かされるので、「それはいくらなんでも早過ぎるだろうよ!!」という気持ちでいっぱいになった。

盛大なネタバレを最初にやるのか。

 

個人的にこの部分は小説だと違和感を感じつつも、疑いがじわじわ確信に変わっていくところがいいんだよ〜と思っているので、ドラマの隠さないスタイルに驚いた。

 

でも、ドラマってより多くの人に見続けてもらうためにあれこれ考えて作られているんだろうな…盛り上がるシーンを継続的に入れてかなきゃ毎週見てもらえないよね…と後から妙に納得してしまった。

 

小説『私を離さないで』は淡々と話が進む。

幼少期の楽しい思い出から、自分と同じ境遇の人々がどんどんいなくなっていく最近の生活を主人公が現在の自分の思いを交えつつ独白するんだけど、どこか過去を振り返るような、ある程度当時とは距離を置いたような語り方だからかもしれない。

 

逆にドラマは登場人物がかなり濃く、人間関係の描写に時間が割かれているように感じた。

水川あさみ演じる美和が綾瀬はるか演じる恭子に依存して離れられず、恭子の好きな人と付き合うほんとうに嫌な奴だった。

宝物を盗んだり、恭子の気持ちを知っていてトモと付き合ったり。

小説でも同じことはしてるんだけど、映像になると美和の快活さもあってうまく言葉にできないんだけどやばさが増していた。

 

この人に近くにいてほしくないし依存されたくないな…

自分の大切なものを全部奪われそう。

 

他にもドラマには「3人で以前暮らしていてた施設に行ってみたら雰囲気が一変しており、しかも恭子のそっくりさんがいた」などのオリジナルのエピソードが付け加えられている。

 

先述したとおり、小説は大きな事件は何も起こらずゆっくり話が進むので、スピード感やおもしろさを求める人にはドラマがいいかもしれない。

 

ちなみにイギリスで映画化されているし、日本で多部未華子主演で舞台にもなっている。

映画の方が小説に雰囲気が近いのかな…(まだ見てない)